🌹支援者にとって大切なテーマ🌹

 先日、実践事例発表会の撮影を行いました📹2月末からYouTube期間限定配信を行う予定です。後日、そのご案内もさせて頂きます🌹  「担当する子どもA君に知能検査(WISC-Ⅳ)の結果を伝えることで、本人の自己肯定感を高める」という主旨の支援でした。終了後、発表をしてくれたきっずサポートなにわのスタッフTさんが話を聞かせてくれました。  支援の内容をご本人と共有する、というのはとても大切な視点だと思います。ただ、伝え方や受け止め方によっては、本人が落ち込んでしまったり、自分の苦手なことに焦点が当たるようになってしまったりということが考えられます。今回のケースにおいても苦手よりも得意なことに関係する情報を強調し、苦手分野は誰しもあるということを伝える、という配慮を行ったうえで検査結果を伝えた、ということでした。  「そもそもなぜ検査結果を伝えようと思ったのだろう?」とTさんに聞いてみました。「まず大きかったのはご家族も賛同してくださったこと、そして何よりA君に自分のいいところ・得意なところを知って自信を持ってもらいたい、また苦手なところも自分でわかっていれば暮らしやすさが上がるのではないか、そう思ったからです」とスタッフTさんは教えてくれました。  ネタバレになるのでこれ以上はやめますが(笑)、知能検査はやはり専門性の高いものになると思います。それをどうご本人の人生に役立つものに変換していくか、というのはとても難しいテーマだと思います。知能検査に限らず、「支援内容を利用者さんご本人といかに共有するのか」というのは支援者にとって目をそらせない大切なテーマです。そのテーマに向き合った、すばらしい支援だと感じました。皆さまにもご覧頂きたい発表です。(小池)

🌹大切にしたい専門性のかたち🌹

 1月14日(金)、ZOOMで公開講座を行いました🌼篁一誠先生と角田みすゞさんに「コロナ禍における自閉症の方の理解」というテーマでお話し頂き、27名の方が参加して下さいました。篁先生、角田さん、ご参加頂いた皆さま、穏やかな時間を共有してくださって本当にありがとうございました。  篁先生が「いわゆる問題行動と呼ばれるもの、それはその方の意図が汲み取れていないからそういう捉え方になるのだと思います。何をしようとしているのか、意図は何なのか、そこを見るための行動観察がとても大切なのだと思います」というお話をして下さいました。  ちょうどこのzoom研修の受付をしているときのことだったのですが、自分宛に電話がかかってきました。自分はいくつかのことを同時に行うのが本当に苦手で、「今この受付以外のことをしてしまうとしんどくなってしまう、この研修の司会進行が優先だ」という考えが頭に浮かびました。電話の相手の方には大変申し訳なかったのですが、今は出られませんと電話をとった方に伝えて頂きました。  この行動もパッと見は「zoomの受付をしながら電話を出ることくらい『普通は』できるのに、困った人だ」というふうに捉えられることもあると思うのです。でも、自分のペースを守る必要があって、それにそった判断ができたという点ではなんというか自信がつきました。  僕はこんなふうに「こんな意図で、そんなふうにしました」ということを表現できますが、自閉症の方の中にはそれが難しい方がおられます。その方をゆっくりと見守りながら「こうなんじゃないか」「あれをしたいんじゃないか」と意図を共有しようとする姿勢を持ち、少しでもその方の思いに近づけること、それが『自分が大切にしたい専門性』なのだと感じます。  どこまで行っても自己満足になってしまうのかもしれませんが、大切にしたい専門性について考え、自分の生き方にもそれを反映させていくことができるこの仕事に出会えたことに改めて感謝の気持ちを持った一日でした🌹(小池)

📖実践事例集の役割📖

 なにわの里では数年に一度、実践事例集を作成しています📕自分たちが行った支援を文章にして、それを集めて一冊の本にして、外部の方に読んで頂きたいという気持ちで書いております🌞  私は最後の文章校正というような役割でここ数回は携わってきたのですが、今回作業をしながら、事例集の持つ意義を考えることがありました。    ネタバレになるので詳しくは書けないのですが(笑)、先輩スタッフが一人の利用者さんの困りごとに本当に丁寧に寄り添い地道な支援を続けた事例を読んで、「目に見えない、形に現わせられない大切なものを、相手の心にあたたかく届けられる手段」として事例集は大きな役割を果たしてくれていることを感じました。  自分らしい成長のためには、ほどよいペースで自分がいいと思ったインプットとアウトプットを行っていくことが大切だと思います。支援現場のインプットと言えば、パッと「本を読んだり、研修を受けたり、見学に行ったり」といったことが思い浮かびます。そして、アウトプットはなにより現場での実践だと思います。  しかし、ただただ現場での実践だけで自分を振り返れるかと問われると、自分自身「うーむ、できていなかったかも…」と思うのです。ここで大切なのは「どんな実践をしたか」というアウトプットだけではなく、「その支援を通して何を感じ、何を学び、これから何を大切にしていきたいのか」という面でのアウトプットなのだと感じます。そして、自身を振り返るアウトプットとしても、この事例集が大きな役割を果たしてくれているのだと感じました。  よく人形とかでも昔からあるものには魂が宿るみたいなことを言いますが、こういった取り組みや制度も長く続けていけば、何か仲間のようなそんな関係になってくるように思います。これからも事例集さんに助けてもらいながら、その人らしいアウトプットを続けていければと思っています🌞