2月21日(金)はオープンセミナー“事例発表会”であります。今、この原稿を書いているのは2月18日なのですが、今、発表者たちは気が気でない毎日を送っております(笑)。 小池も一度この場に立たせて頂いたことがありました(写真は当時の自分であります)。ちょうど今から10年ほど前のことで、28・29歳くらいだったと思います。現場の事も分かり始めてきて、「根拠のない自信」とでも言うのでしょうか、そんなものに溢れていた時期でもありました(お恥ずかしい・・・)。 発表を終え、「よっしゃ、どうだ!」くらいの気持ちでいました(お恥ずかしい・・・)。質疑応答の時間になったのですが特に手が挙がらず、ある支援者の方にご感想を伺う・・・ということになりました。その方が開口一番仰ったのは、「技に溺れているな・・・という印象でした」という言葉でした。 そのときは、その言葉の意味が十分に理解できていませんでした。いくつかの支援を盛り込んだ事例だったので、「もっとシンプルにやった方がいいよ」くらいのご指摘なのだろうか・・・と思っていたのですが、今になって考えるとその方は「そんなもん、お前のやりたいことやっただけやんけ」ということをマイルドに指摘してくださったのだな・・・と理解することができます。 当時の自分なりにその方の困りごとを捉え、その解決策を考えたつもりでした。が、その方やご家族のペースにあっていなかったのは、今考えると明らかで、ご本人・ご家族はもっとゆっくりしたペースを望んでおられたのではないか・・・と顔を覆いたくなるような恥ずかしい気持ちになります。 知的障害のある方々は変化が苦手・・・などと言っておきながら、一方でご家族が戸惑うようなペースの支援をしてしまったことを大変申し訳なく感じます。当時は気づけなかったこと、今は理解できること、そんなことを少しでも後進に伝えていけたら・・・と思っています。(小池)
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母校での講義をさせて頂いて
ここ5年ほど、母校である関西福祉科学大学で毎年一コマ講義をさせて頂いています。“福祉コミュニケーション論”という講義なのですが、“自閉症の方とコミュニケーションをとる上で配慮した方がいいこと”を、施設での実践を踏まえながらお話する・・・ということをさせて頂いています。 動画なども交えてお話をさせて頂くのですが、小池自身が考えた支援は一つもありません(笑)。これまでのなにわの里スタッフが考え、議論し、利用者さんが「これでいいんかな」と試行錯誤しながら覚えはった支援をお伝えしています。 講義の前にはご家族に「○○さんの支援について、お話をさせて頂きたいのですが、構いませんか?」と確認をさせて頂いています。ご家族から「お伝えすることで、少しでも皆さんのお役に立てるのなら・・・」という温かいお言葉を頂くのですが、そのお言葉を読むたびに「自分だけではない、スタッフ、利用者さん、ご家族、全員を代表して伝えしに行くのだ」と心が引き締まる思いです。 そして、なにわの里の実践だけではなく、小池自身がパニック障害を患って感じたこと・体験したことなどについてもお話をさせて頂いています。今回は、市役所で自立支援医療の申請をした際に、しんどい思いをしたことについてお話をさせて頂きました。なにわの里の利用者さんやご家族が感じてきた思いと比べれば、本当に些細でちっぽけなことなのですが、自身で体験しないとわからないものがある、という思いも込めてお伝えさせて頂きました。 この講義にはレポート提出がありまして、この時期に添削もさせて頂くことになっています。皆さん、講義の資料/書籍/インターネットでの情報などいろいろ調べて書いてくださるのですが、自身の体験なども含めて書いて下さる方もいます。つたない講義であっただろうにも関わらず、思いを込めて書いて下さることに本当に感謝です。 この先、続けさせて頂けるならできる限りで続けさせて頂きたい、伝え続けることで何かを感じ取ってくれる方が一人でも増えれば、こんなにうれしいことはありません。(小池)
新しい車がきました!
なにわの里に新しい車がやってまいりました。日産 ノート 〔ナデシコピンク〕であります。今回、公益財団法人 中央競馬馬主社会福祉財団 様 ・ 一般社団法人 京都馬主協会 様 より助成を頂くことで購入することができました。 色も悩んだのですが、なにわの里のロゴカラーである緑が映えるのはピンクなのでは!?という声があがり、ちょっと冒険してピンク色にしてみました。 これからも安全運転を心掛け、利用者さんの送迎をしていきます!(小池)
発達障害連続基礎講座第3回 ご報告
11月1日(金)、発達障害連続基礎講座の第3回を開催しました。 今回の講師は、通所支援係の浅野さん。入職した時、私が直属の上司だったこともあり、子どもの発表会を見るような気持ちで見ていました(笑)。 今回のテーマは「不適切な行動への対応について」でした。2つの支援事例を交えながら話をしてくれたのですが、最後に「なにわの里の支援においては、まだまだいわゆる『問題行動』をなくすところでとまっているケースが多いです。適切な行動を利用者さんに伝え、それを伸ばしていくような支援を進めていけたらと思います」と浅野さんが話してくれました。 なぜなにわの里の現場において、適切な行動を習得していけるような支援が十分になされていないのかは、様々な要因があるかとは思います。思うのですが、私自身が感じるのは利用者さんの生活や人生を長いスパンで捉える視点がまだまだ育っていないからではないか、というところです(自分も含めて)。 支援のスキル・技法を学ぶことはとても大切です。そして、そのスキルを利用者さんのよりよい生活に活かしていくためには、支援現場だけでなくたくさんの場面で経験を積み、人としての幅や奥行きを広げていかないといけないのだろうな、と感じます。 偉そうに書いてしまっていますが、自分自身そのまさに途中にいるのだろうな、と思います。スタッフとやりとりしながら、感じたことを伝え合いながら、一歩ずつよりよい支援を進めていければ・・・と感じています。(小池)
【発達障害連続基礎講座、ご案内】
先日、第3回「不適切な行動への対応」を担当する浅野さんと打ち合わせを行いました。講演タイトルを見てちょっと引っかかった方もおられると思うのですが、「不適切な行動とは??」という話になりました。 当初、文献から問題行動の定義などを引っ張ってきていたのですが、二人でどうも違うなという話をしていました。せっかく現場スタッフである私たちが講師をさせて頂くのだから、「現場のスタッフが考える『不適切な行動』とは何か」をきちんと考える必要があるのでは、と話し合いました。 なにわの里の入所施設「ライフサポートなにわ」において、睡眠が不安定な利用者さんがおられました。「夜間安定して眠れないこのケースは、『不適切な行動』だろうか?」と話し合いが始まりました。「まず本人さんの健康面を考えると、『不適切な行動』と捉えてアプローチする必要があるんだろうね」と小池が差しさわりのないことを言うと、浅野さんがこう答えました。 「Aさんのご両親はご高齢で、Aさんが帰宅された際の対応に苦慮されています。Aさんは施設だけでなく自宅においても睡眠時間が短くなっており、このままこの行動が変わらないと、帰宅自体が難しくなる、という状況でした。帰宅がなくなる、“生活の幅が狭まる”という観点から考えて、『不適切な行動』と捉えることができると思います」 “生活の幅が狭まる” “本人の健康・安全が脅かされる” “他者への影響が大きい” などいろいろな観点があるかと思います。現場においては関係するスタッフ間で悩み、話し合い、ご本人・ご家族の意思を確認しながら支援計画を進めていきます。浅野さんと話ながら、大学時代の恩師から「大学で社会福祉を学ぶことの意義は、細かなスキルを学ぶということではなく、ご本人の生活・幸せを長期的な視点で考えることのできる素地を作ることだ」と教えて頂いたことを思い出しました。 連続基礎講座の講師スタッフたちは、現場において日々悩み、議論し、解のない問いに対して懸命に取り組んでいます。その取り組みについて少しでも講座でお伝えできれば、と思っております。(小池)
【子育て支援講座ご報告、続き】
前回に引き続き、角田さんの子育て支援講座のご報告です。 角田さんがご家族のお話をされる上で、ご家族と3つ約束されていることがあるそうです。 ・ できるようになったことを伝える ・ 悪口を言わない ・ あなた(角田さん)の話したことは、あなたの物語である これを聞いて先日妻に言われたことを思い出しました。小池は数年前に少し体調を崩してしまったことがあり、そのころ子育てにほとんど協力ができませんでした。妻には本当にしんどい思いをさせてしまったと今でも申し訳なく思うのですが、その負い目があるせいか、子育てについて誰かに聞かれると「これこれこういうことがあって、あまり子育てに参加してこなかった」ということを話してしまっていました。 先日も同じようなことがあり、その数日後、妻から「その話はあまりしないでほしい」と言われました。「それを聞くと、思い出してしまうのかしんどくなる」「今はやってくれていることもあるんやから、そのことを話して欲しい」と言っていました。妻からすれば、確かにそうやろなぁと反省しました。 角田さんは3人の子育てをしていく中で大変な思いもたくさんされたはずです。でも、そのことを苦労話のようには話されません。角田さんご家族が笑っておられる(苦笑い含む)映像が浮かぶ感じで話をしてくださいます。そして、それを聞いている私たちは心のエネルギーを補充してもらったような気持ちになります。 3つの約束はご家族にとって大切なものであると同時に、私たちが元気になれる源であるようにも感じました(本文と写真はあまり関係ありません、帽子でバッタをつかまえようとする町娘2人であります)。(小池)
【子育て支援講座 ご報告】
9月13日(金)柏原市立市民プラザで『子育て支援講座』を開催しました! 講師の角田さんは3人のお子さんを育ててきて、末っ子のKさんが自閉症のある方でした。今回のテーマは「きょうだい」だったのですが、角田さん、Kさん、ごきょうだい、一家のさまざまなお話をしてくださいました。 その中で印象に残ったお話が「一方的な関係になり過ぎないこと」という言葉でした。これは別に支援者と利用者さんのあいだの話だけではないのですが、我々支援者は利用者さんのことを一方的に決めつけがちだと思います。 「絶対あれが原因やわ」と理由を決めつけたり、「こうした方がいいって」とやり方を押し付けてしまったり。自分自身も現場でそういったことをしていたなぁ、と角田さんのお話を聞きながら感じました。 先日、ある利用者さんと話をしました。「気持ちの抑えが効かない」「誰か話をじっくり聞いてくれる人がいたら、気持ちも落ち着くんやけど」とその利用者さんは話していました。 「そうやなぁ」「小池さんも家に帰ったら、奥さんにその日あったしんどかったことを聞いてもらっているわ」とぼそっと答えると、その利用者さんは「そうやんなぁ」と笑っていました。 支援者と利用者さん、あるいは上司と部下、親と子、という『力の強い人と弱い人』という関係の中では、『力の強い人』はどこかで「自分の方が相手を様々な面で上回っていないといけない」と考えがちだと思います。 でも、そういう関係性だけだと、『力の弱い人』の方はなかなか自分の思いを吐き出せないのではないか、と感じます。「まあ自分もこんなダメなところがあるんやけどね」くらいの関係もあった方が、困っていることを伝え合えたり、お互いを認め合えたりするのではないかと感じます。 言葉を話すことのできない利用者さんとやりとりするとき、どうしても理由を推測して、対応をこちらで考えて、ということをせざるを得ないときもあると思います。 でも、そんなときでも「自分が上回っていないと」という一方的な関係性だけで考えないように、「自分もそういうときあるよな」とか「それって大変やろなぁ」と考えながら関わっていけるようにしていけたら、と思います。(小池)
≪子どもも大人も楽しめる!テーブルゲームをご紹介 第2弾!≫
2月にご紹介したテーブルゲーム『クラウン』に続き、今回は『もじピッタン』というゲームをご紹介させて頂きます。 プレーヤーにはまず5枚の文字カードが配られます。自分の手持ちの文字カードを既にボードに置かれた文字カードにくっつけて、何かのことばを作ります。他のプレーヤーと順番でことばを作っていき、全てのカードがいち早く無くなった人が勝ちです。 つまり、1度に多くの文字カードを使えば使うほど、他のプレーヤーよりも早くカードが無くなるのですが、これが意外と難しく、そんなに簡単に4文字や5文字のことばを作れません! きっずサポートなにわでは、楽しみながら言葉を覚えたり、音韻認識(ことばがいくつの音のかたまりできているのかを理解し、どの音がどの順にくるのかが分かること)の学習などをねらいにスタッフとの遊びの時間に、このゲームを取り入れています。やってみると結構、大人の方でも真剣になってしまうかも…。機会があれば、是非一度、お試しください!(高木)
実践事例集、発行!
前号の発行からかなり期間が空いてしまったのですが、ようやく「なにわの里実践事例集2018-2019」を発行することができました!! きっずサポートにおけるお子さんへの学習支援、ライフサポートでの誤嚥予防の取り組み、施設入所申込者の推移とその考察、などさまざまなテーマを扱っています。 すべてがうまくいった支援ばかりではありません。うまくいかなかった支援もあります。なぜうまくいかなかったかを考察し、文章として残すことで、なにわの里の支援がひとつ積み上げられるのではないかと思っています。 6月上旬になにわたいむず春号(もう夏の気候ですが…)と一緒に発送する予定です!この記事を読んで一度読んでみたいと思った方は、下記連絡先までご連絡頂ければと思います!(小池) なにわの里 法人本部事務局 mail koike.s@staging-samba.com 電話 072-976-0720 FAX 072-976-0721
アシスタント慰労会
なにわの里ではアルバイトの方のことを、「利用者さん、また支援スタッフを支えてくれる大切な存在」という意味を込めて「アシスタント」と呼んでいます。 3月9日(土)、アシスタント慰労会を開催しました。この3月で卒業する方に「ご苦労様でした!」、4月以降も頑張ってくれる方に「これからもお願いします!」の気持ちを伝えるための会です。 去年のFacebook原稿を見て、毎年同じような感じになってしまうなとも思うのですが、学生さんは短い期間で大きく変化・成長します。アルバイトを始めた当初は「小さな声でしか話せない…」という方もたくさんおられるのですが、1年2年と経つ中ではきはきと話せるようになります。慰労会の場で、卒業する方にこれからの抱負を話して頂くのですが、「成長したなぁ」と思いながら聞かせて頂きました。 仕事を始めたら、やっぱり大変なことはあるかと思います。くれぐれも健康には気を付けて、マイペースでがんばっていってほしいと思います!!(小池)
2月15日 事例発表会ご報告
2月15日(金)、柏原市立国分図書館で事例発表会を実施しました! 当日は外部参加者の方36名、内部スタッフ33名、合わせて69名の方にご参加頂きました! 発表者4名は緊張しつつも、現場ならではの声を一生懸命に届けてくれました。また、アンケートでは外部参加者の方々からありがたいお言葉を頂きました。 ・他の現場ではどのような支援をしているかを学べて、勉強になりました ・データに基づく検証はとても大切だと感じました ・利用者さんの人生に関わっている仕事、という言葉が響きました 他にもたくさんのご意見を頂いています。 発表者は日々の業務の合間をぬって準備をしてくれました。本当に頭が下がる思いです。準備は大変ではありますが、自分たちの行っている支援について振り返り、また外部の方と共有し合える貴重な機会だと改めて感じました。ご参加下さった皆様、ありがとうございました!!(小池)